2011年12月14日水曜日

全てのリーダーの5つの共通点


View from the Topの今回のゲストスピーカーは、Ian Davis。イギリス出身の彼は、マッキンゼー・ロンドン・オフィスでマネージャーを務めた後、2003年から2009年の期間、マッキンゼーのグローバルCEOを勤めた。2010年にマッキンゼーを退職した後も、現在はBPの取締役も勤めるなど、精力的な活動を続けている。

彼は、ビジネスに加えて、Non Profitの分野でも積極的に活動をしており、Teach for Allの理事や、(僕の母校である)東京大学のPresident'sCouncilのメンバーも勤めている。


本エントリーでは、彼が我々に語ってくれたリーダーシップ論を共有したい。


1. リーダーシップに絶対唯一の解はない

リーダーシップを一般化することはできない。(ビジネス)リーダーシップのスタイルは業界によって異なるし、また、国によっても大きく異なる。例えば、同じくアメリカの会社であっても、テクノロジー会社と食品会社では有効なリーダーシップのスタイルは異なる。また、同じ業界であっても、アメリカと日本ではリーダーシップのスタイルは異なる。リーダーシップを考える際は、その文脈(context)を考える必要がある。



2. チームメンバーの視点からリーダーを考える

リーダーシップについて考える際に有効なのは、「チームメンバーの視点で見た場合に、リーダーに見られる共通点は何か」という視点だ。この視点で考えた場合に、私の経験からすると、全てのリーダーに共通な特徴が5つあると思う。


3. 全てのリーダーの5つの共通点

進むべき道(direction)を提示する

一つ目は、進むべき方向を提示すること。ビジネスであれ、それ以外であれ、不確実な状況の中、チームの進むべき方向を示すのがリーダーの役割だ。

物事を始める(initiate)こと

次に挙げられるのが、自ら物事を始めるという点。どんなリーダーも、誰かの指示を待つのではなく、自ら物事を始めるという点で共通している。

物事に執着する

3つ目の特徴は、物事に執着すること。リーダーは、チームの目標やすべきことに誰よりも拘り、懸命に取り組む存在だ。

他人にやる気を与える(motivate

リーダーは、チームメンバーにやる気を与える存在である必要がある。手段は人によって異なる 。公平にメンバーを評価することに重きを置くリーダーもいれば、権限を与え、励ますという手法を用いるリーダーもいよう。ただ、リーダーとして成功するためには、メンバーにやる気を与えることが必要不可欠だ。

実例で示す

最後に挙げられるのが、リーダーは実例で示す、という点だ。成功したリーダーは、リーダーシップについて語るのではなく、実際に行動でそれをメンバーに示す。


4. 得意なことをせよ!

時折、リーダーシップと道徳の関係について語られることがある。ただ、私の経験に基づくと、有効なリーダーが必ずしも道徳家であるというわけではない。私は、社会正義を組織のビジョンとして掲げていなくとも、上記の5つの点を実践し、リーダーとして成功している人を数多く知っている。

もちろん、成功したビジネスリーダーが社会問題に関心を持つことはいいことだ。しかし、何が最も有効な関わり方かは一筋縄ではない。この点に関連して、私の興味深い経験を一つ紹介したい。マッキンゼーのあるオフィスのパートナーの知人が、以前、こんな悩みを私に相談してきた。

「私はコンサルタントとしてそれなりに成功してきており、その結果、裕福な生活を送ることができている。ポルシェも一台所有している。しかし、自分が本当に世の中の役に立っているのか日々疑問に思ってきていた。色々悩んだ末、マダガスカルで孤児院を経営することを真剣に考えている。」

彼はコンサルタントの職業が得意で、それで成功することができた。しかし、孤児院の経営者として成功するかはわからない。コンサルタントがお金をもらえるのは、アドバイスが企業の役に立っているからで、何も引目を感じることはない。私は彼に、「得意なことをして稼いだお金を寄付するという方法もあるのではないか」と進言した。

彼は結局、マッキンゼーに残り、マダガスカルの孤児院に寄付をすることとした。その孤児院は現在1,400人の収容を誇る大きな孤児院となった。結局、彼は仕事・社会問題解決の双方において、世の中に大きなインパクトを与えることができた。しかも、もう一台のポルシェというおまけもついて、だ。


キャリアに悩んだら、自分が好きで得意なことをすることを選んで欲しい。



   *   *   *

上記に加えて、講演の中で最も印象的だったのが、「子供を持つというのは人生において決定的な事柄だ。親として子供を育てるのは、まさにリーダーシップの発揮に他ならない。」というコメントだ。

自分は彼が言う5つの要件を満たすような行動を子供に示せている/示す準備があるだろうか?Ianの講演は、ビジネスにおけるリーダーシップに加えて、親としての自分の責任を再確認するいい機会になった。



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