GE CapitalのVC部門のMDであるKevin Skillern(Stanford GSB 98年卒)から、最近のエネルギー分野のVC市況に関する興味深い話を聞いたので、共有したい。
- エネルギー関連投資に関するVCの見方は弱気(Bear)、強気(Bull)の正反対の見方が存在している
- Bearishな見方の背景
- 株式市場におけるエネルギー関連株の(インデックスより)大きな下落
- Solyndraの倒産(過去最大のVC支援のStart-upの倒産)(参考:ロイター記事)
- VCによるエネルギー関係投資の成功例の少なさ
- 低いNatural Gas(Cleanest fossil fuel)の価格
- Shale Gas開発によるNatural Gas供給の増加
- 限定的な投下可能資金
- 政策の動き・タイミングの不確実性
- Bullishな見方の背景
- 長期的な問題解決の必要性の存在
- オイル価格の上昇、中国による大量のエネルギー消費、福島の事故後の日本/ドイツにおける脱原発の動き
- エネルギーがVC投資の最大のセグメント(15-20%)
- Exitは少ないものの、事業自体は成長/成熟化。勝者の出現
- いわゆる「狭義のクリーンテック(=再生可能エネルギー)」以外のテクノロジーの存在(オイル/Natural Gasに関するinnovation等)
- 米国が未だにイノベーションの中心
- 例えば、Opowerは、家計の月々の電力消費量を集計し、その分析レポートを送付するという比較的単純なサービスを提供している今注目のStart-upだが、このような単純な電力の「見える化」だけで、大きな電気代削減の余地があることが結果で示されている。具体的には、家計は、単純に結果を見ただけで、平均して2-3%電力消費量を減らすという結果が出ている。
- 家計に増して、電力消費量の削減余地があるのが、ビルだ。適切なシステムを導入すれば、ビルの電力消費量は20%近く減少できるという試算もある。
先日、Stanford GSB出身の起業家と話したが、特にエネルギー分野における、VCからの資金調達の市況は、最近は芳しくないようだ。
IT業界が「ビジネスモデル」のイノベーションにより成功できるのとは対照的に、エネルギー分野は(OpowerのようなIT会社を除き)「テクノロジー」のイノベーションが必要であり 、よって、投下資本も必然的に大きくなる。その結果、VCとしては手が出しにくいというのは十分に理解しているが、適切なRisk Capitalが提供され、それがエネルギー分野のイノベーションに繋がることを願ってやまない。
<参考:Opowerによる月次レポートの実例>